べんもうコラム

個別に対応していると、時に“無理難題”を投げかけられることがあります。

「時間がない」

「お金がない」

「現実的に無理」

――こうした言葉は、実際に天明寺にもよく寄せられます。

もし、そこで

「それはできません」

「うちの方針に従ってもらえないなら無理です」

と突き放してしまえば、その方は二度とお寺を訪れることはないでしょう。

では、どう対応すればよいのか。

私はいつも、こう考えています。

時間がない人には、時間がなくてもできる方法を探す。

お金がないと言われたら、その背景を知る。

現実的に難しい状況なら、できる範囲を一緒に考え、歩み寄る。

この「一緒に考える姿勢」こそが、実は非常に大切なのです。

実際に、これらはすべて天明寺に来られた方との実際のやり取りの中で生まれた対応です。

その方自身の都合で途中でお断りされた場合を除けば、ほとんどのケースで希望通りの形に導くことができました。

この考え方を私は「利他マーケティング」と呼んでいます。

仏教の基本精神である“利他（りた）＝他人のために生きること”に基づいた発想です。

他人のために行動することは、やがて自分のもとに還ってくる――。

それはまさに、近江商人の「三方よし（売り手よし・買い手よし・世間よし）」の精神と同じです。

この考え方は、私自身が天明寺の運営を進めていく中で、特に臨済宗で出家した稲盛和夫さんの著書から多くを学んだことです

稲盛さんの教えに触れることで、「他人のために尽くすことが、結局は自分の幸福にもつながる」という真理を、仏教の教えと重ねて深く理解できるようになりました。

つまり――

人との関係もすべては「利他の心から始まるマーケティング」なのです。

※白菜加持・火渡り法要が近づいてまいりました。

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