-
2026.03.01
宗教法人の課税問題について
宗教法人に対する課税については、
寺院関係者の中でも、正直なところ、
「自分事として強く実感している」
という方は、それほど多くないでしょうね。
実際、給与という形で所得を得れば所得税はかかります。
ここまでいい加減にしているのは論外ですが、、。
まあ、このあたりが坊主丸儲けと言われる所以ですが。
私自身も含めて言えば、
• 正直、仕組みが分かりにくい
• 現場では実感が湧きにくい
――これが本音ではないかと思っています。
しかし一方で、なぜ今この議論が出てきているのか。
ここは冷静に見ておく必要があります。
社会の側から見れば、
• 寺院のお金の流れは見えているのか
• 運営は適正なのか
• 本当に宗教活動の範囲なのか
こうした視線が年々強くなっている、
これは事実だと私は感じています。
________________________________________
■ 私の立場
先に申し上げておきます。
私は、宗教法人への課税そのものについて、
賛成でも反対でもありません。
大事なのはここです。
「どこに、どこまで課税するのか」
この線引きを、感情論ではなく、
制度として丁寧に考えることだと思っています。
________________________________________
■ 財産目録の提出義務の実情
現在の制度では、
• 年間収入が8,000万円を超える宗教法人
• 収益事業を行っている宗教法人
これらには、所轄庁(都道府県など)へ
財産目録や決算書類を提出する義務があります。
これは、宗教法人の運営を
最低限チェックするための仕組みです。
________________________________________
■ ただし見えにくい法人もある
一方で、この基準に当てはまらない場合は、
提出義務がありません。
つまり制度上、
外から運営状況が見えにくい宗教法人があるという構造になっているのも事実です。
この点が、現在の議論の一因になっていると
私は見ています。
________________________________________
■ 出さないとどうなるのか
提出義務があるのに提出しない場合、
宗教法人法に基づき、
代表役員には
10万円以下の過料
が科される可能性があります。
督促を無視し続ければ、
最終的には裁判所が過料を確定します。
________________________________________
■ 現場の正直な声
ただ、これは現場の実感として申し上げますが、
• 書類作成が煩雑
• 事務人員が少ない
• 専門知識が必要
こうした事情から、
「後回しになってしまう」
「過料で対応してしまう」
という話を耳にすることがあるのも、
また現実です。
(もちろん、望ましい姿ではありません)
________________________________________
■ よくある誤解
「宗教法人=税金ゼロ」ではありません
ここは強く申し上げたいところです。
宗教法人は、
何でも非課税になるわけではありません。
税制は、はっきり線引きされています。
________________________________________
◎ 非課税になる部分(宗教活動)
たとえば――
• 本堂など宗教施設の土地・建物
• 葬儀・法事・御祈願のお布施
これは宗教行為そのものですから、
原則として課税されません。
________________________________________
◎ 課税される部分(収益事業)
一方で、宗教の枠を超えて、
事業として収益を得ている部分。
ここには、普通に税金がかかります。
例を挙げます。
• 駐車場の貸付
• 物品販売
• 不動産賃貸
• 太陽光発電
これは一般法人と同じ扱いです。
________________________________________
■ 天明寺の実例
天明寺では、太陽光発電を行っています。
これは宗教活動ではなく、
収益事業として扱われます。
そのため、
• 太陽光設備の設置部分(屋根など)
→ 固定資産税が課税
• 売電による利益
→ 法人税等が課税
実際に、きちんと税負担が発生しています。
ここは、一般の方にも
ぜひ知っておいていただきたい点です。
________________________________________
■ 固定資産税がかからない“落とし穴”
宗教法人のメリットとして、
よく言われるのが、
「土地や建物に固定資産税がかからない」
という点です。
これは確かに大きな優遇です。
しかし――
現場の実務では、別の側面があります。
________________________________________
■ 金融機関の見方
金融機関から見ると、
宗教施設の不動産は、
担保として評価しにくい
処分前提にしにくいと判断されることがあります。
その結果、
• 融資が通りにくい
• 借入条件が厳しくなる
• 大型投資が難しくなる
こうした現実が起こり得ます。
天明寺でも、
「担保として取りにくい」
とはっきり言われた経験があります。
________________________________________
■ さらに大事な視点
もし事業が順調なら問題は表面化しません。
しかし――
万が一、資金繰りが悪化した場合、
担保設定の内容によっては、
土地や建物を手放さざるを得ない
という理屈も成り立ちます。
ですが私は、ここを強く申し上げたい。
本堂や神殿は、
単なる不動産ではありません。
そこは、
• 祈りの場所
• 人が心を寄せる場所
• 地域の精神的な拠り所
です。
失われたときの影響は、
金額では測れないものになります。
________________________________________
■ 今回の課税議論をどう見るか
今回の議論が仮に、
• 休眠宗教法人の悪用防止
• マネーロンダリング対策
• 収益事業への適正課税
こうした方向を向いているのであれば、
制度として一定の意味を持つ側面もあると、
私は感じています。
________________________________________
■最後に
最終的に一番大切なのは、
税金の話そのものよりも、
宗教法人が社会的信頼をどう守るか
ここだと私は思っています。
志納金やお布施、ご寄付には、
単なるお金ではなく、
祈りの心
が込められています。
この心の領域を丁寧に守り続けること。
それこそが、
宗教法人に本来求められている姿ではないか――
私は、そのように考えています。
