Column

べんもうコラム

  • 2026.03.16

    祥月命日という「もう一つの記念日」

    記念日というと、結婚記念日や会社設立〇周年など、どちらかと言えばおめでたい出来事を思い浮かべる方が多いかもしれません。

    しかし、本来「記念」とは、過去の出来事や人物を思い出として心に残すこと、またそのための行事や形見などを指す言葉です。

    そう考えると、亡くなった方を思い出す祥月命日(しょうつきめいにち)も、まさに大切な「記念日」の一つと言えるでしょう。祥月命日とはまさに亡くなったその日のことです。

    最近、ご法事を行うご家庭の多くは、仕事の都合やご家族の予定に合わせて、命日より前に日程を調整して行うことが増えています。

    これは今の時代を考えれば自然なことです。

    そのため天明寺では、回忌法要を前倒しで行った場合でも、

    「祥月命日にはできるだけお墓参りをしてくださいね」と檀信徒の皆さまにお伝えしています。

    ところが実際には、毎年きちんと祥月命日に合わせて法事をなさる方も、少なからずいらっしゃいます。

    「せめて塔婆だけでも」と言って、塔婆供養を申し込まれる方も年々増えてきました。

    一見すると、仕事をリタイアして時間ができたからではないか、とも思われます。

    けれども、必ずしもそれだけではありません。

    ご先祖様が多い場合、それぞれの祥月命日に法事を行うことは現実的に難しいこともあります。

    しかし、

    • ご主人

    • ご両親

    • 若くして旅立たれたお子さん

    • お孫さん

    など、特に思い入れの深い方の祥月命日だけは大切にされている、という方も多いのです。

    かつての日本人は、誕生日と命日をとても大切にしてきました。

    たとえば仏教では、

    • お釈迦さま

     4月8日 花まつり(誕生会)

     2月15日 涅槃会

    • 真言宗の開祖・弘法大師

     6月15日 青葉祭り(誕生会)

     3月21日 御影供(みえく)

    といったように、誕生と入滅の両方を大切な日として今もお勤めが行われています。

    宗派や宗教が違っても、祥月命日には仕事を休んだり、予定をあえて空けたりして、故人を思い出し、手を合わせる。

    そうした習慣の中に、

    「亡き人を忘れない」という日本人の心が表れているのではないでしょうか。

    祥月命日は、悲しい日というよりその人のことを思い出し、心の中で再会する日でもあります。

    忙しい毎日の中では、つい忘れてしまいがちな日かもしれません。

    けれども、年に一度でもその日を思い出して手を合わせる。

    それだけでも、きっと故人にとっては何よりの供養になるのではないかと思います。

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