Column

べんもうコラム

  • 2025.09.13

    南無阿弥陀仏には意味が二つある

    阿弥陀如来(あみだにょらい)って、実はお祀りする目的によって“ご利益の種類”が全然変わるんです。

    よく知られているのは「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と唱えれば、死んだあと極楽浄土(ごくらくじょうど)に行けるという信仰。これが平安時代の末期から盛んになった阿弥陀信仰で、浄土宗や浄土真宗などの“浄土系”のお寺で大切にされています。自分のためにも、ご先祖や亡き人のためにも「阿弥陀さまにすがれば安心」という考え方ですね。

    でも実は、それだけじゃないんです。宗派によっては「阿弥陀さまのお名前を唱えれば、今抱えている苦しみから解放される!」と教えるところもあります。

    さらにもう一つ。阿弥陀如来には「敬愛(けいあい)」というご利益があるんです。これはちょっと意外で、「いいご縁が引き寄せられる」もの。たとえば、素敵な人との出会い、欲しかったものとの巡り合わせ、仕事や人間関係のご縁。つまり、生きている私たちの“今”に直結したご利益なんですね。

    同じ阿弥陀さまでも、祀り方や祈り方によって「死後の安心」か「現世のご縁」か、いただけるご利益が変わってくるわけです。

    じゃあ、「往生したいし、ご縁も欲しい!」──つまり両方同時にお願いできないの?って思いますよね。これがなかなか難しいんです。

    なぜなら、生きている私たちの願いは大きく分けて三つに分かれるから。

    ① 故人や先祖のための追善供養。

    ② 自分の現世の悩みや病気、金運など“今すぐ叶えたいこと”。

    ③ そして将来、自分が亡くなった後に極楽浄土に行けますように、という来世の願い。

    阿弥陀如来は全部を聞いてくださる存在なんですが、祈りの“方向”をはっきりさせることが大事なんですね。

    真言宗では目的別に阿弥陀さんをお祀りします。

    ※聖天堂にお祀りされている十一面観音さんの頭の中央にある仏さまは実は阿弥陀如来さんです。

    ※YouTube更新しました

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